りぼんの読書ノート

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ヒア・カムズ・ザ・サン(有川浩)

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たった7行のあらすじを、有川さんは小説へ、劇団キャラメルボックスは演劇へとクロスオーバーな競作を行なった作品とのこと。著者の小説と、実際に上演された演劇を著者がノベライズした「パラレル版」の両方が収録されています。

共通のあらすじは「人が品物に残した記憶が見える編集者が、ハリウッドで映画の仕事に携わっていて20年ぶりに帰国するという、同僚の女性の父親を出向かえに行った際に見えたものは・・」というもの。有川さんはそれを「夢半ばにして倒れた友人の身代わりを務めた男の、友人の妻に対する秘めた恋」の物語とし、劇団は「徹底的なダメ男が、20年間放置した娘の許しを求める」物語としましたが、出来栄えに勝ち負けはありませんね。

おもしろいのは、主人公の真也は真摯な好青年、同僚のカオルはひたむきな女性と、どちらのバージョンでも同じようなキャラ設定になっていること。演劇版のノベライズの際に、有川さんによる脚色も入っているのでしょうか。

どちらもハート・ウォーミングな物語に仕上がってはいるのですが、とにかく軽い。まぁだいたい、「企画もの」の小説に期待してはいけないのですが・・。

2013/3