りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

デッド・ゼロ(スティーヴン・ハンター)

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タリバンアルカイダに協力するアフガニスタンのカリスマ指導者・ザルジの暗殺ミッションに派遣された海兵隊きっての狙撃主レイが、正体不明の傭兵の襲撃や謎の爆発に襲われて行方不明になってしまいます。

半年後、親米派に豹変したザルジの評価は一変し、国賓としてワシントンへの招待を受けるのですが、その矢先に死亡したと思われていたレイから暗殺遂行を続行するとの連絡が入ってきてワシントンは右往左往。主人公のボブ・リーはなかなか登場してきません。

レイを阻止する側に回った米政府は、FBIとCIAの合同チームを結成して、隠棲しているボブ・リーにレイの捜索を依頼するに至ります。やっぱり本書は「ボブ・リー・スワガー」シリーズだったんですね。ボブ・リーがスナイパーの心理と行動を読んで暗殺阻止に動くのは、シリーズ第1作の『極大射程』以来かな。

持ち前の読みと勘とでレイを探し当てたボブ・リーでしたが、意外なことにレイの狙いはザルジ暗殺ではありませんでした。真の狙いは、組織の中に潜む変節者をあぶりだすことにあるというのです。もちろんこれは未許可の作戦。レイを信じたボブ・リーは、謎の傭兵チームから襲撃を受けるのですが・・。

自分が属している組織の高官から追われながら逆に追い詰めていくという展開は、映画の「ボーン・シリーズ」のようですが、60代となったボブ・リーには派手なアクションは無理ですよね。その役割は若いレイが果たすのですが、実は2人の間にはさらに深い繋がりも・・。

ザルジの狙いも、本筋とは離れて進む別のテロリスト集団の役割も、最後にはきっちりとかみ合ってきますし、無人爆撃機なる未来の兵器も大きな役割を果たすのですが、このシリーズは「スナイパー小説」であって欲しいものです。

2012/3