りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ビブリア古書堂の事件手帖(三上延)

イメージ 1

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」の女店主で、極度の人見知りまがら、本に関することだけ饒舌になる篠川栞子がホームズ役。小学生の頃の事件によって「活字恐怖症」なのに、縁あってビブリア古書堂のアルバイターとなってしまった五浦大輔がワトソン役。

典型的な「安楽椅子探偵ミステリ」です。もっとも栞子は事故で入院中であり、「病院ベッド探偵」なんですけどね。もちろん「事件」は古書に絡んだものばかりです。

夏目漱石漱石全集・新書版」
大輔の祖母が遺した古書「それから」の巻の見返しに書いてある偽サインの意味は何だったのでしょう。祖母は浮気をしていたのでしょうか?

小山清「落ち穂拾ひ」
せどり屋の志田が落とした古書を持ち去った女子高生は、新潮文庫のしおりの紐をほどけたプレゼントをラップし直すことが目的だったようです。その首尾は?

ヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」
刑務所の蔵書だった古書を持ち込んだ初老の男性は、年の離れた妻に事情を話していたのでしょうか。正反対の性格ながら互いに労わり合う夫婦の関係に危機が?

太宰治「晩年」
栞子の怪我は、いわく付きの稀覯本入手をもくろんだ男の犯行でした。犯人は、古書とみせかけた復刻書を燃やしてみせた栞子のトリックにひっかかってあきらめたのでしょうか?

本書には続編があるようです。「本の虫」と「古書コレクター」は全然違うのではないか・・とも思うのですが、本が絡む物語は楽しいものです。

2012/2