りぼんの読書ノート

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フォレスト・ガンプ(ウィンストン・グルーム)

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トム・ハンクス主演の映画は、もちろん見ています。本書はその原作本ですが、映画のほうが優れているようです。

並以下の知能指数の持ち主ながら多くの才能と無垢な心を持つフォレストが、大学フットボールのスターとなり、ベトナム戦争の英雄となりながら反戦運動に加わり、米中卓球外交に一役買って川で溺れた毛沢東を救出し、宇宙飛行士や、プロレスラーや、チェスプレイヤーとなり、ジャングルで人食い人種と暮らし、果ては大企業の社長にまでなる物語。

「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」とのテーマはもちろん共通ですが、原作のほうは「ホラ話の連続」との印象が強すぎるように思えます。白紙の存在にすぎないフォレストを道化役として様々なことに関わらせることで時代を風刺するほうに重点が置かれているんですね。

映画では原作の楽観主義は影を潜めて、フォレスト自身に存在感が増しており、恋人ジェニーがエイズ死するエピソードが加えられたことによって、一種独特の人生観が強調されています。冒頭で舞い降り、ラストで舞い上がる羽のシーンがとっても効果的でした。

2012/1