りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

緋色からくり(田牧大和)

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傑作時代小説三悪人の作者は、若い女性だそうです。他の作品も読んでみたくなり、この本を手に取りました。

主人公は、亡くなった父親の後を継いで錠前師となった娘のお緋名。姉とも慕った年の近い叔母のお志麻が殺されてから4年後、お志麻の飼猫だった大福と暮らしていたお緋名のもとに、用心棒を志願する侍・康三郎が現れた途端、家が賊に襲われ、物語が回転していきます。

お志麻はなぜ殺されたのか。賊はお緋名の何を狙っているのか。どうやら妖しい動きをする黒鉄屋が絡んでいるようですが、黒幕は誰なのか。陰謀のからくりと、錠前のからくりが重なっていく、よくできた物語です。

お緋名の幼馴染みで、夫を亡くしていたお志麻の再婚相手に名乗りをあげながら、祝言を挙げる前に婚約者を失い、お志摩の遺児・孝助を我が子として育てているハンサムな床屋の甚八や、お調子者ながら芸はしっかりしていて、お緋名の妹分を自認している辰巳芸者の祥太など、脇役陣も揃っていますので、シリーズにしても面白そうです。

・・と思ったら、既に『数えからくり』という続編がありました。こちらも読んでみましょう。

2011/12