りぼんの読書ノート

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神君家康の密書(加藤廣)

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信長の棺シリーズの著者がおくる、戦国覇道の大逆転劇にかかわった三武将の落城秘話。どの作品も現在放映中の大河ドラマに関係しているので、記憶に新しい。もっとも、どの物語も戦国ドラマには定番のエピソードです。^^

「蛍大名の変身」
女の尻の威光に縋る蛍大名との異名を取った京極高次の妹は秀吉の妾・龍子。妻は茶々の妹・初。凡庸な男・京極高次が一世一代の変身を見せたのは、関ヶ原の前哨戦となった大津城の篭城戦。もともと茶々を愛していた高次は、彼女の裏切りを許せずに東軍についたようです。立花宗茂率いる1万5千の大軍勢を関ヶ原の前日まで3日間引き付けて、家康から「裏の戦功第一位」と賞されますが、47歳の若さで大阪冬の陣の5年前に亡くなったことも強運だったといいます。生きていれば、非才が馬脚を現わしたでしょうから・・。

「冥土の茶席(井戸茶碗「柴田」由来記)」
博多の若き豪商・島井宗室が信長に贈った高麗茶碗は柴田勝家に贈られますが、北の庄落城の際、茶々とともに秀吉の手に入ります。秀吉はこれを徳川秀忠を人質に取った際に、秀忠の側近・青山忠成に与えますが、この直後から高麗茶碗の評価がウナギ登りに上がったとのこと。青山家の家臣・朝比奈家の家宝として幕末を迎え、日本の歴史上最高価格をつけた茶碗として、鉄道王・根津嘉一のもとに渡り、現在は根津美術館で展示されているそうです。

「神君家康の密書」
天下分け目の戦いを半日で決着させた猛将・福島正則は、豊臣恩顧の大名の中で最大の裏切り者とされますが、家康から「秀頼を保全する密書」を手に入れる約束があったと言われます。もちろん反故にされてしまったのですが・・。関が原の後に大領を授かったものの、江戸留守居役にとめおかれたまま大阪の陣が起こり豊臣家は滅亡。やがて福島家も広島50万石を改易され、正則の子・正利は3千石の旗本に身分を落とすこととなってしまいます。

2011/10