タイトルはシャンソンの一節からとられています。
「わたしを抱きしめて、わたしを連れていって♪
なんて心地いいのかしら、その腕のなかで♪」
離婚寸前の女性作家である主人公が、一目惚れした精神分析医の気を引くために患者を装い、人生に登場したあらゆる男たちについて告白していくとの形式で、人生に関与したあらゆる男たちの断章を書き綴っていきます。なんて心地いいのかしら、その腕のなかで♪」
父親、祖父、夫、初恋の人、息子、愛人、母親の愛人、大叔父、教師、医者、歌手、役者、文通相手、読者、ゆきずりの男・・。精神分析医の前で語られる一人称のモノローグと、三人称で語られる小説部分が紡がれていく中で浮かび上がってくるのは、1人の女性の姿です。
同性の友人を持たず、母や娘は自分自身の投影と感じ、男性との関係が力の源泉と考えるとの女性像には違和感もありますが、それだけに彼女が男性を見る視点には頷ける部分も多いのです。
印象に残った言葉を記しておきましょう。
・ 脆さと強さ、自惚れと謙虚
・ 男たちのせいで生まれる苦しみと、男たちがいるために生まれる愛
・ 本来、男たちはみな自由の身ではない
・ 本来、男たちはみな独りなのだ
2011/9・ 男たちのせいで生まれる苦しみと、男たちがいるために生まれる愛
・ 本来、男たちはみな自由の身ではない
・ 本来、男たちはみな独りなのだ