りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

陰陽師~醍醐ノ巻(夢枕獏)

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若き陰陽師安倍晴明と、親友で横笛の名手・源博雅の名コンビが、ゆるゆると酒をのみ、花を愛で、楽を奏で、月を見上げ、呪を語り、「ゆくか」「ゆこう」の決めゼリフとともに京の都で起こる怪事件を解決しに出かけていきます。このマンネリ感がいいのです。

笛吹き童子天皇の命で博雅が笛比べをする相手はなんと、広隆寺の音声菩薩像の化身?

百足小僧:ムカデの精気を集めている童子をからかうと、怖ろしい仕返しを受けますよ。

はるかなるもろこしまでも:蜘蛛の巣に囚われたのは、世界を見てまわりたかった老婆の生き霊だったようです。老婆の若々しい好奇心は満足されたのでしょうか。

きがかり道人:毎夜、琵琶湖から逢坂山を越えて京に下っていく老人の正体は?

いたがり坊主:唐からきた天狗が羽団扇を使って天皇に悪巧みを仕掛けるのですが・・。

夜光杯の女:阿倍仲麻呂を経て日本に持ち込まれた杯には、玄宗皇帝と楊貴妃の妄執が取り付いていました。そして仲麻呂自身の妄執も・・。

犬聖(いぬひじり):前世への信心も度が過ぎれば迷惑です。今、そこにある因縁も大切。

白蛇伝老尼が40年間修業して達した境地も、愚直な老僧によって揺らいでしまいます。

不言中納言(いわずのちゅうなごん):化生を助けた事を口外すると命を狙われるのです。

清明の師であった賀茂忠行の後を継いだ保憲や、ライバルの蘆屋道満も登場します。博雅の笛はもちろんのこと、蝉丸の琵琶も冴え渡りますよ。^^

2011/7