りぼんの読書ノート

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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 5.最後の神(リック・リオーダン)

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パーシーの16歳の誕生日は、「世界が破滅する日」になってしまうのでしょうか。クロノスに率いられたタイタン族は、ついにオリンポスに総攻撃をかけてきます。

セント・ヘレンズ火山の底から目覚めさせた最強の怪物テュポンは、各地を大災害に巻き込みながら東海岸へと向かい、海ではオケアノスがポセイドンの王宮を急襲。ゼウスらがテュポンに引きつけられてガラ明きとなったマンハッタンを守るのは、「ハーフ」たちが中心とならざるを得ませんが、クロノスのみならずプロメテウスやヒュペリオンも揃った敵の主力は、そこを狙うんですね。

タレイア率いるハンター隊や、ケイロン率いるケンタウロス支部のメンバーなども駆けつけてくれますが、数に劣る「ハーフ」たちは劣勢で、防御ラインも風前の灯。天上のオリンポスを嫌っているハデスやポセイドンは救援に駆けつけるのでしょうか。

「トロイ戦争」の一場面を髣髴とさせるエピソードに、「英雄」のイメージからは程遠いアフロディテの娘・サイリナをもってくるのは、意表を衝いてくれますし、ハデスの息子・ニコや、裏切り者となってクロノスに身体を与えたルークの過去が鍵となっていくあたりは、「家族志向」の強いアメリカ人が好みそうな展開かも。最後に登場するのは、「家族」を象徴する炉の女神・ヘスティアですしね。

「英雄」といえども、心をこの世界に心を繋ぎとめてくれる絆を必要とするのです。それは家族であり、愛する人の存在にほかなりません。そしてギリシャ悲劇のように、思いも寄らない形で予言が実現されるエンディング!

二番煎じの感はあるものの、「ハリー・ポッター・シリーズ」よりも楽しめる作品でした。やはり、あらゆる物語の原型とキャラクターが揃う「ギリシャ神話」は偉大です。

2011/5