りぼんの読書ノート

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虚空の旅人(上橋菜穂子)

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守り人シリーズの外伝的な作品です。第1巻精霊の守り人で彼女に助けられて成長した、新ヨゴ王国の皇太子チャグムが本巻の主人公であり、女剣士バルサは登場しません。

半島の先端に位置して島々を統べている隣国のサンガル王国での、新王の即位の儀式に貴賓として招かれたチャグムと星読博士のシュガは、海の向こうにあるタルシュ帝国がサンガルを支配しようと仕掛けてきた陰謀に巻き込まれてしまいます。

島々の長である「島守」たちを王室の出身である妻たちから離反させ、「海底の民」に魂を奪われた少女に呪術をかけて王室内でのいざこざを引き起こし、一方では大船団を進攻させるという、念の入った陰謀に対して、チャグムは友人となったサンガル国の王子や王女たちに協力して闘いを挑むのですが・・。

サンガル国で「ナユーグル・ライタ」と呼ばれる「海底の民」は、チャグムが捉われた異世界「ナユグ」のことのようです。自ら異世界に飛び込んで敵の呪術師と繰り広げる、チャグムとシュガの闘いが物語のハイライト。

シリーズに戦乱の匂いが漂ってきました。民を思う気持が強く、父帝との間にわだかまりを残したままのチャグムや、バルサやタンダら本編の主人公たちの「その後」も気になってきました。いったん中断したシリーズですが、続編も読んでみましょうか。

2011/5