1951年に書かれた「侵略SF」の古典的傑作です。アイオワに着陸した未確認飛行物体の真相解明におもむいた秘密捜査官サムとメアリは、何も変わったものを見出すことは出来ませんでした。それはすでに、住民が宇宙からの寄生生物にとりつかれ、彼らの思うままに操られていたからなんですね。
それでも秘密捜査官たちは恐るべき真相を明らかにするのですが、大統領を動かせず、初動の対応に失敗。やがてアメリカ中西部は寄生生物の支配下に入り、東部にも食指を伸ばしてきます。そしてほかの国々にも。果たして人類に勝ちめはあるのでしょうか・・。
ウェルズの『宇宙戦争』以来、侵略SFは多く書かれていますが、この時期には特に寄生型宇宙生物が多く登場したようです。ウィルスの存在は既に知られていたものの、ポリオワクチン接種の開始が、作家たちの関心を集めたのではないかというのですが、真相はどうなんでしょうね。
本書は、寄生型宇宙生物を主題とした数ある作品の中で傑出しています。胴体と触手だけのナメクジ型知性体が人間の頚椎部にはりついて脳を支配するという不気味さや、侵略者を撃退する秘策を見つけるまでの構成と展開が素晴らしく、そこに、主人公たちの恋愛のみならず出生の秘密まで絡めてしまうのですから、やはり、ビッグスリーに数えられる大作家の書いた古典的傑作です。今読んでも、全然古臭く感じませんもの。
2010/10