りぼんの読書ノート

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シャーロック・ホームズの帰還(コナン・ドイル)

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前巻シャーロック・ホームズの思い出の「最後の事件」で、悪の天才モリアーティと相打ちでライヘンバッハの滝に落ちて死亡したと思われていたホームズが再登場。シリーズを終了させるつもりだった著者が、読者からの強い要望に応えてホームズを「帰還」させた第3短編集です。

空き家の冒険:ホームズはモリアーティ教授の残党から逃れるために死亡説を利用して、世界中を回っていたんですね。ホームズは蝋人形を使って残党の大物を罠にかけますが、これは同時に、アデア卿殺人事件を解決に導くことになります。

踊る人形:人形が並ぶ落書きのような図を見たキュービット氏の妻が怯えたのには、理由かありました。これはある仲間内で使われていた暗号だったんですね。

美しき自転車乗り:カラザース氏の屋敷で娘の家庭教師をしているヴァイオレット嬢が自転車で駅に向かう際にいつも尾行しているという男の正体と目的は? その背景には、彼女の父親からの遺産と、婚約者がいる彼女に横恋慕した男が絡んでいました。

プライオリ学校:プライオリ学校の寄宿舎から、ホルダーネス公爵の息子が誘拐されたというのです。名門家系には複雑な「家庭の事情」があるんですね。

黒ピーター:「ブラック・ピーター」ことピーター・ケアリー船長が銛で一突きにされて殺害された事件の犯人は、船長の保有株券リストを落とした非力な青年なのでしょうか。

犯人は二人:恐喝王ミルヴァートンとの交渉を依頼されたホームズですが埒があきません。ホームズは意外な行動に出るのですが、さらに意外な事件を目撃してしまいます。この解決方法は、さすがにお奨めできません。

六つのナポレオン:ナポレオンの石膏胸像が連続して壊されるという不可解な事件が、殺人事件へと発展します。まさかこんな事件がイタリアの犯罪組織と結びついていくとは・・。

金縁の鼻眼鏡:コーラム教授の屋敷で殺害された秘書の青年が握り締めていた鼻眼鏡から、犯人像を推理するホームズですが、問題を解決に導いたのは教授に勧められた煙草でした。

アベ農場:ブラックンストール卿が殺害された現場に残されていたワイングラスの澱と、不自然にちぎれた呼び鈴の紐から導き出された意外な犯人。やっぱり内部犯行ですよね~。

第二の汚点:イギリスを戦争に巻き込みかねないという重要な外交文書が紛失。首相からの依頼を受けたホームズのもとに、ヨーロッパ担当相の夫人ヒルダが現れます。奥様方にも「外交機密」があったのですね。「汚点」とは絨毯の下の床についた血痕のこと。

さぁ次は、最後の長編となった『恐怖の谷』です。

2010/8