りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

冠・婚・葬・祭(中島京子)

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中島京子さんの著作で、唯一未読だった本です。「冠・婚・葬・祭」をテーマに、人生の断片を切り取ったエピソードとでもいう内容ですが、最後の節目である「葬」と、死者を送るお盆をテーマにした「祭」が、強く印象に残りました。「婚」の話に萌えないようでは年齢を自覚してしまいますが・・。

冠:「空に、ディアボロを高く」
地方新聞の新米記者・裕也が、成人式を取材して誤報を流した結果、退職に追い込まれますが、誤報のもとになった大道芸人志望の若い女性・忍と会って、生きる勇気を分けてもらった・・のかな?

婚:「この方と、この方」
引退したお見合いおばさん・マサ江に持ち込まれた2枚の写真。最後の仕事と思い、お見合いをアレンジするのですが、結婚願望のない男と、結婚「式」願望の強い女の組み合わせなんですね。「結婚においてもっとも邪魔になるのは、本人の意思である」・・そうなのでしょうか?(笑)

葬:「葬式ドライブ」
社命で取引先会長の葬式に連れて行ったお婆ちゃんの人生を垣間見た直行は、死によって、人生の全てが忘却のかなたに持ち去られてしまうことに、感傷的になるのです。

祭:「最後のお盆」
老母が亡くなり、取り壊しを決めた田舎家で最後のお盆をした中年の三姉妹は、不思議な人々と出会います。母の人生で起きたことを、もっと聞いておかないといけないなぁ・・。

何もしなくても時は流れ年齢は積み重なっていくのですが、「冠婚葬祭」という人生の節目には普段と違うことに思いを馳せてみたほうが良さそうです。

2010/4