りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

咲くやこの花(藤本有紀)

イメージ 1

NHK土曜時代劇のノヴェライズですが、小説としても十分に成立しています。テーマが「百人一首」というので、気になって読んでみました。

深川の漬物屋の娘・こいは、地味に目立たず生きることが信条のヒロインなのですが、陰謀で亡くなった父の敵討ちとお家再興を目指す若い浪人・由良に思いを寄せてしまったことから、なんと「大江戸百人一首かるた大会」に出場することになってしまいます。江戸城で行なわれる決勝戦に、付き人として由良を登城させ、敵と狙う老中と対決させてあげたくなったんですね。果たして、こいと由良の恋と戦いは・・。典型的な時代劇ドラマです。登場人物と配役を見るだけで、ストーリーまで想像がついてしまいそう。^^

こい(成海璃子):主人公。漬物屋の娘。名前の元歌は「恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひ初めしか」(壬生忠見

しの(寺田有希):こいの幼馴染みでライバル。鰻屋の娘。名前の元歌は「忍ぶれど 色に出にけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで」(平兼盛

深堂由良(平岡祐太):父親の敵討ちとお家再興を目指す浪人。名前の元歌は「由良の戸を 渡る舟人 かぢを絶え 行くへも知らぬ 恋の道かな」(曾禰好忠

佐生はな(松坂慶子):こいの師匠でしたが、将軍家姫君の教育係として大奥に入り、百人一首大会に大奥代表として登場。こいの前に立ちふさがります。名前の元歌は「我が身世にふる ながめせしまに」でしょうか。それとも「ふり行くものは 我が身なりけり」でしょうか。          

そめ(余貴美子):こいの母親の漬物屋。隣の鰻屋とは犬猿の仲ですが、実は・・。

信助(佐野史郎):しのの父親の鰻屋。隣の漬物屋とは犬猿の仲ですが、実は・・。

門田伯耆守(寺田農):幕閣の権力者、由良に父の敵と狙われています。

百敷屋徳兵衛(大和田伸也):江戸一番の呉服商伯耆守と結託して晴着を売るために百人一首大会を主催

百敷屋順軒(内田滋):徳兵衛のダメ息子。しのに慕われているのも知らず、こいを見初めますが・・

藤原定家中村梅雀):百人一首の選者。この物語のナレーター。

ところで、百人一首には「むすめふさほせ」などの「決まり字」があって、初めの1語や2語で勝負がつくんですね。「決まり字」は明治時代に発見されたそうですが、江戸時代にこの技を開発していた「はな」と「こい」が圧倒的に強かったのは当然です。

2010/4