りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ころころろ(畠中恵)

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しゃばけ」シリーズ第8弾となります。このシリーズ、ちょっと前は「中だるみ感」があったのですが、「神」と「人」と「妖」の関わりをテーマとした本書はよかったですね。久しぶりに読み応えがありました。

5つの短編が収められていますが、「若だんなの一太郎の目が突然見えなくなってしまう騒動の顛末記」という、「ひとつのテーマを巡る連作短編集となっています。なんと犯人は「神」なんです。神は祟り、犯し、喰らうもの。でも、それだけではない。神にも抱える思いはある。神は時に、人に置き去りにされる。人の思いは、揺るがぬ神の前で移ろっていく・・。

余韻の残るエンディングも良かったですが、光を取り戻す過程を描いたエピソードにもストーリー性がありました。白沢の仁吉が、母親を慕いながら亡くなった薄幸の少女の思いが篭った生き人形の小ざさを救う「ころころろ」も、犬神の佐助が、鬼と化した女性の怨念を救う「けじあり」も、独立性の高い物語で楽しめましたし。本書のストーリーが、TVドラマ第3弾かな?

2010/3