祖父のプリーニオは、幼いころに、広場にあるトスカーナ大公の銅像が倒され、イタリアの独立と統一を果たしたガリバルディの銅像に代えられるのを見て彼にあこがれます。それ以来、息子や孫にガリバルドを名乗らせるんですね。
父のガリバルドは、20世紀となってイタリアに労働運動、民衆運動の嵐が吹きまくった時代に、暴動を指導しながら、憲兵に殴られて命を落とします。その前に叔父の1人は、リビア植民地化戦争で命を落としています。そして、息子のガリバルドが生きたのはファシズムの時代。祖父も父も30歳で死んだ家系で、彼もまた同じ宿命と予言されるのですが・・。
それぞれの章はポエムを思わせる断片なのに、その積み重ねが一族の運命を綴ることになっていくあたりは技巧的ですが、それがさらに、大きな歴史の一部となっていくのを見ると、「技巧」というレベルを超えています。
著者は30歳のときに書いた本書の副題を、20年後に再版を出すに際して、「小説」から「寓話」と変えたとのこと。ここで語られている「教訓」は「運命の選択」なのでしょう。
2010/1