りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

史記武帝紀2(北方謙三)

イメージ 1

漢の武帝(劉徹)は、歴史上、毀誉褒貶の激しい皇帝です。漢の北辺を悩まし続けた匈奴を打ち破って、西域や、朝鮮半島や、南越を支配下に置き、漢の版図を最大化した栄光の一方で、後年の内政の乱れや大規模な土木工事によって民衆を疲弊させ、農民反乱を頻発させたりしています。『史記』の著者である司馬遷宮刑に処したことでも知られていますね。

著者の意図は、この複雑な人物を突き動かした「本質」を見極めることと思われますが、第2巻で描かれるのは、30歳という壮年期に差し掛かった武帝の勢いある様子。衛夫人の弟である衛青を起用して、はじめて匈奴との戦いに勝利した武王は、ついに守りから攻めに打って出ます。衛青は期待に答え、見事な戦略で河南の地を奪回。衛青の甥である霍去病も才能を現わし、若くして将軍の地位につきますが、匈奴も若き血を起用して対抗に努めていて、今後の戦闘の激化が予想されます。

そんな中、西域に使わしていた張騫が13年という年月の後に帰還。武帝の西域戦略が生まれようとしています。若き司馬遷は諸国の実情を視察した旅を終えたところで、その才はまだ武帝に見出されるに至っていません。まだまだ序盤です。

2009/11