松竹で歌舞伎の企画・製作に携わり、後に歌舞伎の脚本家となった松井さんが著した、江戸期の芝居に関わる人たちの生き模様を切り取った中篇4作が収められています。
「似せ者(にせもん)」
名優・坂田藤十郎の死後、人気の低迷する歌舞伎界を盛りたてるために、藤十郎の「そっくりさん」に名跡を継がせたまでは良かったのですが、やがて「そっくりさん」が自分の意思を持ち始め・・。
名優・坂田藤十郎の死後、人気の低迷する歌舞伎界を盛りたてるために、藤十郎の「そっくりさん」に名跡を継がせたまでは良かったのですが、やがて「そっくりさん」が自分の意思を持ち始め・・。
「狛犬」
いつも狛犬のように2人並んで連れ立っていた助五郎と広治。冴えない広治をひきたててやっていたつもりの助五郎でしたが、やがて広治が相撲の芝居をきっかけに売れっ子になり、さらには2人の幼馴染である踊子・お菊の気持ちもからんで、複雑な気持ちになるのです。
いつも狛犬のように2人並んで連れ立っていた助五郎と広治。冴えない広治をひきたててやっていたつもりの助五郎でしたが、やがて広治が相撲の芝居をきっかけに売れっ子になり、さらには2人の幼馴染である踊子・お菊の気持ちもからんで、複雑な気持ちになるのです。
どの作品をとっても、芝居に対する作者の深い造詣や愛情が感じられるのですが、それだけでなく、芝居の奥深さや芝居に憑かれた者たちの異常さがチラッと姿を見せてくれるあたりは、作者の力量なのでしょう。
2009/10