りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

格闘する者に○(三浦しをん)

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タイトルからして「格闘家」と関係する物語かと思っていたら(笑)、女子大生の就職物語なんですね。ある出版社の入社試験担当者が、試験の説明に際して「該当するものにマルしてください」の「該当」を
「かくとう」と読んでいたとのエピソードから来ています。三浦さんのデビュー作。

漫画大好きで「漫画雑誌の編集者になりたい」と漠然と思っているだけの女子大生・可南子にも過酷な就職戦線は押し寄せてきます。でも「そんなんじゃ就職なんかできないだろうっ!」と突っ込みたくなるほどにのんびりした可南子の就活ですから、うまくいくはずもありません。

試験会場に向かう途中の古本屋で掘り出し物の漫画本を見つけて、そのまま帰ってしまったり、面接官の態度に本気で怒ったり、漫画喫茶で時間をつぶしていたり、S学館、K談社、S潮社などの大手出版社には採用されないでしょう・・これじゃ。このあたり、著者の体験そのままなのでしょう。

実家がかなりワケアリの政治家一族で、父親の地盤の後継者問題でもめているとか、可南子がつきあっている相手が、80歳近い足フェチのおじいさんなんてあたりは、著者の得意な妄想が主人公の妄想と一緒になっての強烈な設定。

三浦さんは就職氷河期の経験者ですよね。同世代の女性読者が多いことも頷けます。

2009/5