りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

隠蔽捜査2 果断(今野敏)

イメージ 1

隠蔽捜査と連続して読みました。前作のラストで、警察庁長官官房の総務課長から大森署署長に左遷されたキャリアの竜崎が、所轄で遭遇した事件の顛末記。事件捜査もある分、こちらのほうが「警察小説」っぽいですね。

大森署管内で3人組による強盗事件が発生。封鎖が間に合わず、犯人の素通りを許したものの機動警察によって2人は速やかに逮捕。しかし、残った1人が飲食店に立てこもった模様で、拳銃の発砲も確認されます。

警視庁の捜査一課特殊班(SIT)による接触にも応答しない犯人を前に時間が過ぎていく中、警察庁の特殊急襲部隊(SAT)も現場に到着。混乱する現場で、SAT突入を命じた竜崎。犯人は射殺され事件は解決したかに見えたのですが、犯人の銃に銃弾は残っていなかったことが判明し、その情報がマスコミに流れてしまいます。警察の過剰対応を糾弾する論調の中、竜崎は査問を受けることになるのですが・・。

このシリーズは、「警察小説」であるとともに、仕事人間の竜崎がこの年になってようやく「家族」や「仲間」のたいせつさを意識するようになっていく「成長物語」でもあります。本書でも、妻の入院におろおろし(それでも仕事優先なのですが^^;)、息子の進路相談にとまどい、好ましく思っていなかった刑事のプロ意識に救われ、「感情」も重要であることを少しずつ理解していっているようです。竜崎が「普通の人間」になっては、おもしろさ半減ではないかとも心配してしまいますが・・。

2008/11