りぼんの読書ノート

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わたしが愛した愚か者~DOJO2(永瀬隼介)

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先に読んだDOJO-道場の第2弾です。

第一作は、史上最強と言われる空手流派で不世出の天才と言われた先輩・神谷の開いた道場をひょんなことから引き継いでしまった、腕は立つけれどお人よしの主人公・藤堂が、人生ではうまく立ちまわれずに結局は逃亡同然に海外に旅立った神谷を見届ける迄の物語。

続編である本書ではそういった人正論的な部分は影を潜め、相変わらずお人よしの藤堂が空手一筋の生き方を求めながらも、白帯なのに道場の最高顧問を名乗る図々しい中年男の富永や、生意気な後輩の健三、元同僚で恋人の悠子ら、周囲の人間に振り回されていく様子を描いた軽めの連作短編集となっています。

藤堂はなかなか強さを発揮することができません。大会社の社長に就任した、老齢の悠子の父親に柔道の技で絞め落とされそうになったり、女子高校生に簡単に技をくらって、スタンガンで気絶させられそうになったりしちゃいます。

それは闘う以前の問題として、いろいろな事情が絡んでくるから。実際の生活の中では、腕は立つけれど気が弱くて優柔不断でお人よしすぎる藤堂が本気で闘えるような状況は、ほとんどないんですね。器用に立ちまわれない男の生き方に、不思議な魅力を感じてしまいそうにもなりますが、実際にはつきあいにくい男性のはずです(笑)。

2008/6/20読了