りぼんの読書ノート

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三谷幸喜のありふれた生活6 役者気取り

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朝日新聞に連載されているエッセイ「三谷幸喜のありふれた生活」の単行本もこれで6巻め。脚本家や映画監督としては相当に厳しく、妥協されない方とお聞きしていますが、エッセイに書かれる日常生活の姿は、奥様が女優であり有名な知人が多いことを除けば、ごくごく普通の小市民ぶりがいかんなく発揮されていて、楽しい読み物に仕上がっています。

前々作では「大河ドラマ新撰組」、前作では「有頂天ホテル」と、話題になった大きな仕事を進めていく過程での楽屋話的なエピソードが楽しかったのですが、本書の期間で一番大きな仕事は舞台劇の「コンフィダント・絆」だったでしょうか。

無名時代のゴッホゴーギャン、スーラ、シュフネッケルに一人の女性を争わせる趣向で、三谷さんと同世代である中井貴一や寺島康文など錚々たるメンバーを揃え、楽しくて優れた舞台だったようですが、大河ドラマや映画に比べると、観た人は限定されちゃいますね。もちろん、後世に名を遺すほどの画才に恵まれなかったシュフネッケルがキーパーソンです。

それよりも、この時期に本人が露出していたのは、相武紗季と競演したJALのCMでしょう。「なんでJALに三谷さん?」と違和感を覚えた記憶があるけど、そのあたりも含めた効果を狙ったのでしょう。

ほかにも市川崑監督の「犬神家の一族」でチョイ役出演したり、「有頂天ホテル」のDVDに特殊メークで出演するなどして露出がめだったあたりを、自嘲気味に「役者気取り」としたのが本書のタイトル。いや、相当に露出が好きな方とお見受けいたしましたが・・。この数日、映画「マジックアワー」の宣伝で毎日のようにお見かけしてますしね。^^

印象に残ったのは、奥様の小林聡美さんと一緒に過ごす時間が少なくなってしまい、意識して毎朝一緒に朝食をとるようにしているというエピソード。会話がはずまなくても、眠くても「夫婦が毎日向かい合うことがたいせつ」と実感したとのこと。頷ける話です。

2008/6