りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

つくもがみ貸します(畠中恵)

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大人気の『しゃばけシリーズ』とは別系統の物語。とはいえ、タイトルにもあるように「妖」も登場する「畠中不思議ワールド」であることには変わりありません。

99年使い続けられてきた道具類が、妖しの力を持つようになった「つくもがみ」。江戸の片隅で古道具貸出業を営んでいる出雲屋には、いつの間にか「つくもがみ」が集まるようになってしまっていました。というのも、出雲屋を営む姉弟のお紅と清次はひょんなことから彼らの存在を知ってしまい、それからというもの、彼らの話に聞き耳を立てたり、彼らの勧めで新入りの「つくもがみ」を買い足したりしていたからなのです。「つくもがみ」の道具を貸し出して、先方の道具から内情を聞きださせてしまうなんて、反則技ですよね~(笑)。

とはいえ、お紅と清次が一番気になっているのは、自分たちのこと。この2人、実の姉弟ではありません。なのに何故、一緒にお店をやっているのか、そのあたりの事情が明らかになるまでが、本書の物語。お紅が惚れているらしい謎の男は行方不明で、どこでどうしているのやら。お紅に惚れている清次はやきもきするのですが、読者こそ、はっきりしない清次にやきもきすると思うな(笑)。

これもたぶん、シリーズ化されるのでしょう。人間の都合など考えない勝手気ままな「つくもがみ」のキャラはともかくとして、主人公の2人が「いい人」すぎて、かといって『しゃばけシリーズ』の一太郎ほどぶっ飛んでもいなくて、ちょっとパワー不足かな。この後どうなるんでしょうね。

2007/12