りぼんの読書ノート

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交渉人 遠野麻衣子・最後の事件(五十嵐貴久)

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交渉人の続編です。前作で、愛情すら感じていた尊敬する上司の犯罪を見抜き、逮捕せざるを得なかった麻衣子は、団結を誇る警察組織の中でうとまれる存在として、広報に飛ばされていたのですが、再度、大事件に巻き込まれることになります。

彼女の運命を変えたのは、シヴァと名乗る人物からの1本の電話。10年前に「地下鉄テロ事件」を起こして拘置されている宗教指導者の釈放を求めて、爆弾テロを予告し、彼女を交渉人に指名してきたのです。

白昼堂々銀座の交番を爆破して見せたシヴァに対して大動員をかけた警察ですが、無差別テロを防ぐには東京はあまりに広く、対応は後手後手に回らざるを得ません。シヴァは、警察をあざ笑うかのように、小出しに爆破事件を起こしてみせ、ついには都民をパニックに陥れてしまいます。交渉の役を担うとはいえ、上司の信を得ていない麻衣子は無力です。提案も推理もことごとく無視される中で、麻衣子は何ができるのか。そして、シヴァの真の狙いは?

もちろん彼女は、絶体絶命の窮地から蘇ります。「君に足りないのは自信だけだ」と励まされた麻衣子が、犯人逮捕のみを真剣に願うたたき上げの警察官たちの支持を得て、シヴァと対決するラストは出来すぎだけど、ヒロインは、こうでなくっちゃ。

内容が薄いとか、リアルさに欠けるとか言われている本ですが、私はこの作者と相性がいいようで、しっかり楽しませていただきました。

2007/12