りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

モップガール(加藤実秋)

イメージ 1

もともとドラマの原作として書かれたとのことで、登場人物のキャラがあざといくらいに立っています。自分探し中の長谷川桃子が、求人広告で見つけたバイト先は、変人そろいで事件や事故現場専門の清掃会社でした。いきなり連れていかれた仕事は、殺人事件の現場で部屋中飛び散った血痕の清掃。そもそも採用面接で「スプラッターやホラーや血液ドバーッに免疫ある?」なんて聞かれた時点で、何か気づいて欲しいものです。

しかも、桃子には、変わった能力があったのです。以前から、時々片耳が聞こえなくなることがあったのですが、そういう時に現場に残された「想い」を感じてしまうようになってしまいました。

社長夫人の殺害現場では「南仏の町並み」を幻視し、研究者の自殺現場では「赤いきつね」の味覚が、お屋敷の元主人の事故死現場では「丁子の香り」が、何やら怪しそうな会社では「寒気」がつきまとってしまい、事件を解決するまで異常感覚が元に戻らない・・というのですから、不便なもの。もちろん、その感覚が、事件解決の大きなヒントになるのですが。桃子は、一連の事件を追ううちに、同僚の青年・翔の父親が、かつて自殺した事件の真相にたどりつくことになります。

都合よすぎるストーリーですが、ドラマ向けなら仕方ないか。それにしても、自分の家で「謎の歌声」が聞こえてくる所でのエンディングというのはどうなんでしょう。続編を買わせる仕掛けなのでしょうが。

2007/11