りぼんの読書ノート

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暁への疾走(ロブ・ライアン)

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ナチス占領中のフランスで、イギリス情報部の密命を受けてレジスタンスを支援した、天才レーサーたちの物語。実在の人物による実話を基にして書かれた小説だそうです。

お抱え運転手からトップレーサーに駆け上がったウィリアムズと、元戦闘機乗りでエリートレーサーのブノア。ライバルで友人のこの2人が、名車ブガッティを駆り、追うナチスを翻弄しまくる・・と思ったら、カーチェイスの場面は、あまりないんですね。せっかくレーサーを登場させたんだから、もっと脚色してもいいのでは?

冒頭に紹介される、湖底からのブガッティ車の引き上げ作業。これは50年後のことなのですが、車内に眠る男女の遺体は誰なのか、当時の主人公たちに一体何が起こったのかと思わせる展開が、最後まで興味を繋いでくれます。『タイタニック』みたいですけどね。

「雄々しいロマンティシズムの脈打つ英国正調冒険小説」というキャッチコピーもいいですね。「007シリーズ」までもが、ハリウッド映画になってしまい、アメリカナイズされたストーリーばかりが氾濫している中で、時代遅れ感がある「英国風」には希少価値すら感じてしまいます。

2006/9