りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

リンドキストの箱舟(アン・ハラム)

イメージ 1

異常気象によって野生動物は絶滅し、凍土と化した近未来の地球。雪に閉ざされた荒野を、たった1人で駆け抜ける少女・スロー。いいえ、彼女は1人ではありません。彼女の連れは、野生動物を蘇らせる鍵となる不思議な生きもの。自然界から失われた動物たちのDNA暗号を保存していて、動物たちの再生の鍵となる生きものが「リンドキスト」。

生物学者の両親は、リンドキストを作った罪で流刑に処せられました。スローは今、母親の意思を継いで、リンドキストの子供たちを、極寒の収容所から、太陽の輝く希望の都市へと運んでいるのです。「シベリア」と呼ばれる雪の荒野には、危険がいっぱい。厳しい寒さ、害獣や害虫、犯罪者たち、彼女を追う警備隊・・。

彼女に危機が訪れるたびに、豆粒ほどのリンドキストの子供たちが魔法のように、ハリネズミ、ビーバー、トナカイ、ユキヒョウなどに姿を変えて、彼女を助けてくれるんですね。^^

楽しい冒険ファンタジーですが、底に流れるテーマは重い。「人間は『地球に優しい』なんていう傲慢な言葉を使うようになった」と、訳者の野口百合子さんが、解説で言っています。参った・・。作者だけでなく、翻訳者で作品を選ぶってのもアリですね。

2006/9