りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ティファニーで朝食を(カポーティ)

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ヘップバーン主演の、あまりにも有名な映画の原作です。アパートの階段に腰掛けて「Moon River」を歌う姿や、雨の中ネコを逃がして街を出る場面は、有名ですね。

大都会の片隅で奔放な生活をおくる「ホリー(旅行中)」。小洒落ていて、華やかなことが好きで、気まぐれな女性。お金には執着して、男どもに貢がせて生計を立てています。心はいつも、何かを追い続けているけれど、とっても孤独。

彼女は、実は、孤独で貧しい少女時代を送ってきた女性です。弟と暮らす日を楽しみに、弟に学費を仕送りしているのです。弟が戦死し、生きる目的を失ってしまった彼女に対して、優しく手を差し伸べたのは、無名の小説家志望の若者でした・・。

小説と映画では、エンディングが全く違うようですね。映画はもちろんハッピーエンドですが、小説では街を出て行ったホリーは戻ってきません。カポーティが創り出したのは、何者にも縛られることのない、
新しい時代の(といっても、60年も前のことですが)、自由な女性だった・・と思うのですが。

2006/9