りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ルネサンスの女たち(塩野七生)

イメージ 1

ルネサンスの女たち」は塩野さんの処女作。イタリア・ルネサンス期に生きた4人の女性を取り上げて紹介してくれます。

1人目がイザベッラ・デステ。権謀術数うずまくこの時代に、女手ひとつでフェラーラを維持し、ルネサンス芸術のパトロンとしても有名な、エステ家の女領主。

2人目がルクレツィア・ボルジア。兄はあの、教会軍総司令官チェーザレ・ボルジア。「平凡な女らしいだけの美女」なのに、政略結婚と兄による夫の謀殺の繰り返し。彼女自身が「兄の陰謀の手先となった毒婦」という見方もありますね。ボルジア家の栄光と没落の象徴ともいえる人生を送ります。

3人目がカテリーナ・スフォルツァ。小国フォルリを維持して、チェーザレ・ボルジアの攻勢を耐えた女領主。女傑ですが美女として有名で、彼女の「美しくなるための処方箋」という著書は全ヨーロッパ社交会に大きな影響を与えたそうですよ。

4人目がカテリーナ・コルネール。4人の中で1番無名ですが、一番印象に残った女性です。ヴェネチアの豪商の家に生まれながら「共和国の養女」という身分で、オスマントルコに圧迫されるキプロス王室に嫁がされるのです。キプロスヴェネチアの植民地とされたのは、どうやら彼女がヴェネチアの「駒」として、動いたことによるようなんですね。

ルネサンス期は、見方を変えれば群雄割拠の戦国時代。時流に抗い主体的に生きた女性と、時代に流された女性。それぞれの女性の生き方から、この時代が鮮やかに見えてくるのです。

(クラブの「しりとり」に)