りぼんの読書ノート

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あきない世傳 金と銀 2(高田郁)

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学者の娘として生まれながら、父と兄の死後、大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公をはじめた幸(ゆき)の人生が大きく変わって行きます。幸の賢さと性格を見込んだ番頭の治兵衛から、放蕩三昧の店主徳兵衛の後添いにとの話が持ち上がったのです。

「危機に瀕した店の放蕩息子との結婚」と「一生鍋の底を磨き続ける女衆」という人生の選択は、まだ14歳の少女には重すぎる選択です。治兵衛から「自分の力で運命を切り開いていける女子」と見込まれた幸の選択は、どういうものだったのでしょう。

運命はまだまだ幸に楽をさせてはくれません。店の大黒柱であった治兵衛の病。店の内外で人望を損ない続ける店主徳兵衛。3年後に暖簾分けするとの約束の履行を迫る弟の惣次。一段と厳しくなる五十鈴屋の経営。幸を厳しく試験する同業者たち。

それでも幸は「商いと人生」について学び続けていきます。享保デフレ時代は、商業の変革期なのですね。大阪でも呉服の店頭販売が流行り始めた背景には、庶民が新しい購買客層として現れてきたことがあるのでしょう。この後も新しいビジネスモデルが現れてきそうです。経営者が放蕩などしている場合ではないのです。次巻では、幸の運命がふたたび大きく変わって行きそうです。

2018/1