少年少女サッカー小説の傑作『銀河のワールドカップ』の前日譚ですが、主人公は『銀河』でもスピードスターとして活躍する高遠エリカという女子小学生。「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝を意識して書かれた作品なのでしょう。
チームが解散してコーチも仲間も失ったエリカは、完全に名前負けしている下手な少年・翼と1対1で練習している時に、なでしこ日本代表のミサキ選手と出会います。「自分たちでチームを作ったら、クラブチームと対戦させてあげる」と励まされて、作った急造チームに集まったのは、『銀河』でも活躍する三つ子の虎、竜、鳳たち。
コーチもいないから、自分たちで工夫して楽しみながら練習する様子は『銀河』と一緒です。戦術やポジションは竜持が決め、試合中のコーチングは翼が指示を出す自主的な形は、ピタッと決まれば楽しいもの。女子サッカークラブのU12チームを圧倒し、U15やU18のチームに対しても互角の勝負をして、ついにトップチームと対戦。^^
でも、楽しいだけじゃありません。エリカは、もうすぐ男子のスピードや体力に敵わなくなることをわかっています。「この楽しさは今だけのもの」なのですが、だからこそ一層輝くのです。
2012/5