りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ボートの三人男(ジェローム・K・ジェローム)

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古きよき時代の19世紀後半のロンドン。休暇を利用してテムズ川のボート旅行を計画した、男3人と犬1匹の珍道中を描いた傑作ユーモア小説です。ボート旅行を計画したきっかけは、医学事典を読んだ主人公がほとんど全ての病状にあてはまると気づいてしまい、運動と静養が必要だからというもの。でも3人とも優雅な独身貴族で、まだまだ若いんですよ。

しかしこの3人、なかなか見事なオマヌケ揃いなんです。まともにボートを漕げず、曳き綱をからませ、テントも張れず、料理もできない。「仕事が好き」と言いながら、実は「仕事をしている人を見るのが好き」ということで、互いに他の2人に押し付けあうばかりで何一つまともに進まないんです。それでも見栄は一人前以上にあるようで、世間を見下したようなことを言うのですが、だいたいは見当外れか、その非難が自分にこそ当てはまるようなことばかり。

フォックステリアのモンモランシーもいいですね。凶暴なのに、猫にも湯沸かしにも負けてしまうオバカぶりを発揮しまくります。もっともこの飼い主には、犬の躾なんてできそうにありませんけどね。

ようやく目的地にたどり着いた3人には、ボートで戻る元気など残っていません。さてどうやってロンドンへ帰ったのか・・もちろん見事なアンチ・クライマックスが準備されています。^^

この作品はもともとテムズ河の歴史的、地理的な案内書として構想されていたということであり、19世紀のテムズ川の静かで美しい風景や川沿いの町の歴史の部分も楽しめます。コニー・ウィリス犬は勘定に入れませんを再読してみたくなりました。

2012/5 歯医者に通いながら^^;