りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

空のオルゴール(中島らも)

イメージ 1

教授の気まぐれで、19世紀の奇術師ロバート・ウーダンの研究をすることになってパリへと旅立った大学院生の時友クン。彼を待っていたのは、なぜかパリ留学中に奇術に凝って奇術師フランソワに弟子入りまでしてしまっていた、後輩のリカ。なんと都合のいい設定なんでしょう。^^

奇術師仲間にも紹介されてウーダン研究も進むと思いきや、いきなりフランソワ師が殺害されてしまいます。それも、仕掛けのない電動のこぎりボックスで両断されて・・。殺害者は、UMA(アンチ・マジック・アソシエイション)と名乗る謎の団体。しかも、彼らはフランソワ師の弟子たちまで狙いはじめるのです。

奇術師の弟子たちは、「ナイフ投げのカリオストロ」に、「箱抜けのフーディーニ」に、「消失マジックのマミー」に、「風船マジックのオキト」に「空中浮揚のリカ」。ついでに、合気道をたしなんでいた時友も絡みます。

UMAの殺し屋は、「格闘技の青龍」に、「居合い切りの白虎」に、「爆弾魔の玄武」に、紅一点の「44マグナムの朱雀」。そういえば、中島さんは格闘技対決を描くのもお得意でした。

となると、山田風太朗さん描く「忍者集団対決もの」のような展開を想像される方も多いのではないでしょうか。事実そんな展開になり死者もゴロゴロ出るのですが、中島ラモさんの場合には、最初から最後までユーモアたっぷりですので、緊張感はありません。ゆきずりの第三者にも活躍させちゃいますし。

ところでウーダンには、なんと奇術を使ってアルジェリアの暴動を鎮圧してしまったという凄まじいエピソードがあるのですが、その時に使われたトリックもこの本で再現されているんですよ。^^

2009/11