りぼんの読書ノート

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魅惑の集団自殺(アルト・パーシリンナ)

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フィンランド人の作家による小説です。本を返却した瞬間に、登場人物の名前を誰一人思い出せなくなってしまいました。あまりにも、馴染みのない人名ばかりでしたので・・。^^;

かつて自殺大国として名をはせたフィンランド。破産した実業家が自殺しようとした納屋で出会った、自殺寸前の大佐。とりあえず自殺を延期することにした2人は、自殺願望を持つ人を集めて、華やかに集団自殺を遂げようと、フィンランド中から自殺志願者を募ります。

集まった老若男女は、なんと600人! 会合の夜にいきなり自殺を遂げてしまった人もいるほどでしたが、集団自殺に同調した数十名の会員は、やはり自殺志願者であるバス会社社長が運転するバスに乗り合わせ、自殺の名所である北欧最先端の岬を目指すんですね。

ところが、いざとなると死に切れなくなるのは、どこでも一緒のようです。「最後はスイスで自殺したい」との声が出て、バスは北欧からドイツを縦走します。あちこちで軋轢を起こしながら進む「自殺バス」は、果たして目的を遂げることができるのでしょうか・・。

ひとことでいえば、ブラックユーモア小説です。シリアスになりかねない話題を、自虐的に、ユーモアたっぷりに描いています。最後には「生きる力」を問う形になっていますが、好き嫌いがあるかもしれませんね。

ところで、フィンランドの自殺率が世界一だったのは、90年代はじめのことです。国を挙げて取り組んだ自殺率改善運動が功を奏して、近年の統計では15位まで低下。今では、9位の日本のほうが自殺大国だそうです。

2007/12