りぼんの読書ノート

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隣りの若草さん(藤本ひとみ)

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オルコットの名作『若草物語』をモチーフにした、コメディ・タッチのヒューマンドラマ。「メグ、ジョー、べス、エイミー」の代わりに登場するのは、「梅子、桃子、桜子、百合子」の、現代日本の4姉妹。

社長秘書としてバリバリに働いている美女は長女・梅子。作家志望だけど家事全般を引き受けている次女・桃子。まだ売れていないモデルで性格が強い美女が3女・桜子。姉たちの顔色をうかがう癖がついた可愛い4女・百合子。

原作で母親の代わりを務めているのは長女のメグですが、本書では次女・桃子が「専業主婦」的な役割を果たしています。だから、彼女ひとりで家族を纏めていこうと苦労する「肝っ玉母さん」みたいなお話になってしまう。4姉妹がそれぞれ家庭を離れていく年代に差しかかり、ひとりひとりの幸福を願う気持ちと、家族を大切に思う気持ちが交錯する原作とは違って、家族構成以外は全く別物ですね。

原作の次女・ジョーは、背が高くてやせっぽちだけど、桃子は、美女ぞろいの姉妹の中で、ひとりだけ太めというのも、「肝っ玉母さん」イメージの理由なのかも。藤本さんのフランス近世史ものは好きだけど、これは失敗作かなぁ。

2006/9


【追記】
若草物語』は、何度も映画化されたけていますが、決定版と言えるのは、やっぱり、エリザベス・テイラーや、ジューン・アリソンが出演した1949年版でしょうか。

1994年には、ウィノナ・ライダー、サマンサ・マシス、キルスティン・ダンストクレア・デインズという、当時バリバリの超豪華メンバーで製作されたけど、前作の印象には及ばなかったな。