りぼんの読書ノート

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太陽の塔(森見登美彦)

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絶望的に女性と縁のない、休学中の京都大学5回生。ただ一度つきあったことのある水尾さんにはあっさりと振られ、それでも彼女と「偶然」出会う機会を求めて、付きまとう。これは、彼に言わせれば、高尚な「水尾さん研究」であって、決してストーカー行為などではないのです。

自意識過剰で、巨大な妄想力と自己正当化の論理を振りかざす男が、クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都を、自転車「まなみ号」で疾走。

太陽の塔」とは、大阪万博会場にあった「あれ」です。岡本太郎さんには悪いけど、独特の奇妙なフォルムで、唯我独尊的に周囲を睥睨している、ちょっと不気味なヤツ。主人公の巨大な自意識を「太陽の塔」になぞらえているのでしょうか。

でも、クライマックスがちょっと惜しい。クリスマスに対して闘いを挑んで京都を混乱に陥れる作戦というのが、四条京阪の交差点で「ええじゃないか」とのささやきを周囲に伝導させていくだけだからなぁ。^^;

2006/7