りぼんの読書ノート

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痴情小説(岩井志麻子)

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異常ともいえる愛の世界を描いた、13編のショートストーリー。どの作品も、例によって「岡山の女」が主人公。

岡山女には、東京もベトナムも韓国も、みな異国なのでしょうか。異国の男と情事を重ねても、決して満たされない。いつの間にか、死の匂いが漂ってくるのが、「志摩子ワールド」。

作者自身をモデルにしたような作品がありました。主人公はイラストレーターの麻子。経済的には自立していて、時間も自由になる。ベトナムのホテルボーイに惹かれて、何度も逢瀬を重ねる。異国の街で迷い、辻を曲がったところに現れるのは、いつものホテルなのか、それとも・・。

情事の表現も露骨なのに、エロスを感じられないのは、なぜなのでしょう。究極のエロスが死に繋がることを本能的に察してしまって、思わず引いてしまうのでしょうか?

2006/7