りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ヒストリアン(エリザベス・コストヴァ)

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「ヒストリアン(歴史学者)」というタイトルと出版時期から、また「ダ・ヴィンチ・コード」の二番煎じか・・と思いましたが、系統の異なる本でした。「歴史ミステリー」というよりも「ゴチック・ホラー」。

ヴァンパイア伝説を探求する過程で行方不明になってしまった父を捜しに行く、16歳の娘の物語。その父親も過去に失踪した恩師の探索を試みているので、二重三重の探索劇になっているところが趣向でしょうか。

恩師の足跡をたどって真相に限りなく迫った、若き日の父と母。そして父の足跡が途絶えた地点から、父を乗り越えて進む娘。娘もまたヒストリアン(歴史学者)なのです。でも、もう一人、不死のヒストリアンが・・・。

努力は買うけど、こんなに長くする必要なかったな。それに作者のイスラム嫌いが、ところどころに見えちてしま。もっと言えば、東欧の文化のことだって尊重していない感じも漂ってる。だから「ダ・ヴィンチ・コード」よりもテーマの奥は深いのに、読後感の爽やかさの点で大きく劣ります。

娘が発見する事になるのは、亡くなったはずの母の生い立ちと、自分の出生の秘密・・・という家族の絆が中心テーマなのは、「アメリカ人の書いた本」らしくて微笑ましいのですが。

2006/5