りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ラストワンマイル(楡周平)

イメージ 1

どうやら、クロネコヤマトがモデルと思われる経済小説ですが、現実の先を行く新しいビジネスモデルを立ち上げる物語。

宅配業は各社のサービスが横並びになってしまった成熟産業で、今や価格引下げだけを競いあう旨みのないビジネス。しかもドル箱だったコンビニ宅配にも民営化された郵政が乗り込んできて、不当な競争を強いられてしまいます。そこに追い討ちをかけたのが、IT企業が開設するネット市場のデリバリー料金の、ありえない額の値引き要求。もはや仕事を貰いにいくだけでは、道は拓けない。自分たちで市場を作り出すしかない!

折りしもIT企業がTV局の買収に乗り出す中、「敵の敵は味方」とTV局と組み、手数料無料のネット市場を立ち上げようとする社員たち。本業の宅配料金で稼げるからこそ、出店料金を無料にできる。出店料金収入が本業のIT企業にはできないビジネスモデル。デリバリーという「ラストワンマイル」を握る者が強いはず。事態は彼らの思惑通りに進むのでしょうか・・。

著者の国際犯罪小説は海外小説の物真似みたいに思えますが、こういうジャンルでは通常のビジネス小説よりも疾走感たっぷりで、いいですね。楽しく読めました。^^

2006/12