りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

オーデュボンの祈り(伊坂幸太郎)

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伊坂さんのデビュー作は、「不条理ミステリー」。

仙台沖にありながら150年間「鎖国」をしている孤島が舞台。そこで起きるのが、未来を予知するカカシの「殺害」事件。そこに住んでいるのは、本当のことは決して言わない画家や、島の規律を維持する者として勝手に殺人が認められている男や、体重300キロにもなってしまって市場から身動きできない女など。

仙台でコンビニ強盗に失敗した伊藤は、警察に追われ意識を失い、目が覚めたら、この島に連れて来られていました。「島に欠けているものをもたらす男」と呼ばれた伊藤は、カカシの殺害事件の謎を解決するように迫られるのですが・・。

不条理ワールドの設定や、カカシの構造説明には、だいぶ引いてしまうし、色んなものを詰め込みすぎて、消化不良を起こしてる。だいたい、カカシの頭の中に掘られた溝を虫が這い回って、脳神経の役割果たしてるとか言われてもねぇ・・。でも絶対的な悪としての、警官・城山の存在とか、作者の「その後」を予感させるものがたっぷりあるのも事実です。

オーデュボンとは、18~19世紀のアメリカの鳥類学者。大陸に何十億羽もいた「リョコウバト」が絶滅される過程で、「祈ることしか出来なかった」悲しみを味わった人のことです。

2005/10