りぼんの読書ノート

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退屈姫君海を渡る(米村圭伍)

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この人の「お気楽時代劇」はクセになるようです。前作で、藩をつぶそうとアラ探しをする田沼意次を、あろうことか、お庭番や、くのいち少女まで味方に引き入れてぎゃふんとさせた「めだか姫」の再登場。

相変わらず江戸の藩邸で退屈を持て余す姫にもたらされたのは、国元に戻っている、夫で藩主の直重が失踪したとの大事件。さっそく、大藩の大名である父にねだって船を仕立ててもらった姫は、前作の仲間たちと一緒に讃岐に向かいます。

姫を待っていたのは、なんと直重の子を懐妊したという側女と、藩の乗っ取りをたくらむ兄の六波羅殿。普通の女性ならヒステリー起こしてもしかたないような状況ですが、こんな大ニュースや大事件も、姫にとっては全部「退屈しのぎ」。奇想天外なアイデアで全部片付けちゃうのが「お気楽時代劇」。

六波羅殿の催眠術にかけられた姫が、貞操の危機を迎える場面は読者へのサービスですね。でも、知らないうちに夫に側女がいたら、もっと怒れよ!

「海を渡る」って言うから、ご禁制の外国へおでかけと思ったのに、行き先が讃岐っていうのは、ちょっと拍子抜けでしたけどね。

2005/10