りぼんの読書ノート

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りかさん(梨木香歩)

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『からくりからくさ』の主人公「蓉子」が少女時代に経験した、不思議な人形「りかさん」との交流を描いた本。「リカちゃん人形」が欲しいとせがんでいたのに、市松人形の「りかさん」が来たらがっかりしますよね。でも「りかさん」は、ようこと心を通わせることができたのです。

「りかさん」は、他の人形の「想い」を伝えることもできました。古い人形たちが秘めている、かつての持ち主たちとの思い出。それは決して楽しいものばかりじゃない。アメリカからの親善大使で、日本の子供たちから愛された西洋人形アビゲイルが、戦争中に経験したこととは・・。ようこは、人形たちから「愛すること」を学ぶのです。

人形の役目について、ようこに語ったおばあちゃんの言葉は、謎めいているけれど重い。「人形遊びをしないで大きくなった女の子は、疳が強すぎる。積み重ねて来た、強すぎる思いが、その女の人を蝕んで行く」。

『からくりからくさ』の4人、蓉子、紀久、与希子、マーガレットの「その後」を描いた短編「ミケルの庭」が併録されています。マーガレットが生んだ女の子の物語です。

2005/10