りぼんの読書ノート

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オイディプス/アンティゴネ(ソフォクレス)

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福田恒存さんの名訳によるギリシャ悲劇。予言を避けようとして、かえって予言を成就させてしまうオイディプス王の悲劇と、その娘アンティゴネの物語。

「父を殺して母を娶るだろう」との忌まわしい予言を授かって、オイディプスはコリントを出奔。人々を苦しめるスフィンクスを退治してテーバイの王となる。先王の妻であったイオカステを娶るのですが・・。結論は、もう誰もが知ってのとおりです。激しい呪いの言葉で、先王殺害犯の探索と処刑を命じたことがすべて自分に跳ね返ってくる。

あらためて読むと、「神と人との対立」というテーマや、きっちりした構成や、緊迫感たっぷりの展開に驚かされます。2400年も前に、こんな格調高い文学が生まれていたのですね。

オイディプス」と比べると「アンティゴネ」はちょっと落ちるかな。王の息子と婚約していたアンティゴネが王の命令に背いて、テーバイから離反して戦死した兄の亡骸を葬ります。王は怒って、彼女を生きたまま墓に閉じ込めるのですが、この理不尽な行為が、王の一族に悲劇をもたらす・・という物語。こちらには神は登場しません。

2005/8