りぼんの読書ノート

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豆腐小僧双六道中ふりだし(京極夏彦)

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ホラーで売り出したこの作者の作品は、読む気もしなかったのですが、「巷説百物語」の書評を読んで気が変わりました。

「百物語」の方は怪奇譚を逆手に取った「仕事人」の話で、ヒネリが効いてる痛快ミステリーですが、「豆腐小僧」は本当の妖怪の話。お盆に入れた豆腐を落とさずにヨチヨチ歩きするだけが特技の何の怖さも感じさせない妖怪の豆腐小僧が、自分探しの旅に出る冒険ストーリー。

途中の過剰なまでの解説にはうんざりする人も多いと思うけど、原始的な混沌とした恐怖に対して「説明することによって恐怖感を減らす」目的で妖怪が生み出され、それがキャラクターに進化していくという過程には説得力あります。怖さとは縁もゆかりもない存在である豆腐小僧こそが、実は最も進化した妖怪だったわけで、ラストの彼の意外な活躍は楽しいものでした

人間が思い浮かべないと消えてしまう妖怪の悲しさ・・・。「ネバーエンディングストーリー」みたいですね。そうそう、この本、正方形でお豆腐の形です。なかなか凝ってます。

2004/7