りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

オケアノスの野望を砕け(クライブ・カッスラー)

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海洋冒険小説といったら、この人ですね。作者自身、沈船のサルベージが趣味というのですから。

でも、アメリカの架空の組織であるNUMA(国立海中海洋機関)の職員を活躍させるこのシリーズも、途中からキナ臭くなりました。世界平和への敵をどんどん登場させて、非合法の活動で叩きのめすというストーリー展開は、トム・クランシーと共通してますね。アメリカ人の読者は、やっぱり、こんな本が好きなのでしょうか。

この本も、プロローグは悪くないのです。16世紀、宗教裁判を逃れて北米へと向かった、バスク人航海士。北極点へ向けての飛行中に氷に閉ざされた船を発見して救助に向かい、消息を絶ってしまった戦前のナチス・ドイツの飛行船。歴史に埋もれた二重遭難劇が、いったい現代にどう関係するのか。そこまでは興味深いし、とってもいいのです。

でも過去のバスク人が所持していた「ローランの秘宝」を発見して悪用しようとしているのが、獰猛なバイオ・フィッシュを用いて世界の自然魚を根絶させ、自社の養殖魚の価値を高める野望を持った謎のエスキモーが率いる「悪の多国籍企業」というのではね~。

映画化された「サハラ」も、南北戦争中に消息を絶った南軍の軍艦が、大西洋を横断してニジェール川を遡っていた・・という導入部までは、面白かったのですが・・。

2006/8