イタリアの小村で時計職人の祖父と2人暮らしの16歳の少年ジャンには、空を飛ぶ機械を発明したいという夢がありました。そんなジャンに協力するのは、村長の息子で親友のニッコロと、2人を応援する少女マドレーヌ。
しかしそんな日常は、突然村に侵入してきたナポレオン軍によって破られます。彼らの目的は、300年も前にレオナルド・ダ・ヴィンチが遺した秘密のノートを捜し出して、そこに記されている秘密兵器を製造すること。本人も知らされていなかったのですが、ヴィンチ村出身のジャンには、レオナルドの子孫だというのです。そして行方不明になった父が、レオナルドの手稿を手に入れて隠したというのです。
ジャンは謎の修道女ビアンカの手助けで窮地を脱するのですが、彼女も決して味方ではありません。ビアンカはなんとミケランジェロの子孫であり、バチカンのために働いているというのです。かくして三つ巴の捜索劇が始まるのですが、手稿はいったい誰の手に落ちるのでしょう。そしてそこには何が記されているのでしょう。
ナポレオンがミラノの図書館からレオナルドの手稿を持ち出したことは史実ですが、その時点で半分ほどは失われていたそうです。その点に着目した枠組みは見事ですが、本書の展開が都合よすぎたせいか、あまりワクワクできなかったというのが感想です。一番楽しめたのは、ナポレオンの手先のバレル大佐が少年たちにやられっぱなしで左遷されていく先々で、少年たちと何度も遭遇する気の毒な点でした。
2018/11