りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

レディ・ヴィクトリア 2(篠田真由美)

イメージ 1

第1巻のラストにちょっとだけ登場した新米メイドのローズが、このシリーズのヒロインというのには驚きました。前巻は、ローズが働くことになる風変わりなシーモア家を説明するための、長いプロローグだったのですね。そういえば著者は、このシリーズで「ヴィクトリア時代の使用人たちの生活を描きたかった」と述べています。

ローズがデヴォンシァの田舎町からロンドンへやってきたのには、行方不明の兄を捜すという秘密の理由がありました。とはいえロンドンは、ローズの想像をはるかに超える大都会。簡単に人探しなどできるはずもないのですが、そこはアメリカ出身で風変わりな子爵未亡人ヴィク、謎のレデイズメイド・シレーヌや執事のディーンなどが揃っているシーモア家。そもそもヴィク奥様が一番変わっている点は、使用人のことを思い遣る気持ちなのです。

シーモア家に出入りする胡散臭い探偵エドワーズの助けを借りて、兄が見かけられたというイーストエンドの阿片窟に飛び込んだローズは、思いもよらない事件に巻き込まれてしまいます。大貴族の不良息子の不品行が、ローズの兄とどう関わっているのか。ヴィク奥様が暴こうとしている事件と、どのように関係しているのか。

あらためてシーモア家の使用人たちを見ると、インド人小姓のモーリス、中国人料理人のリェン、黒人のキッチンメイドのベッツィと、かなりグローバルですね。フレンドリーな奥様や多様な使用人仲間に囲まれたローズは、兄の事件が解決した後もシーモア家に残ることを決意します。次巻以降は、さらに複雑な事件に巻き込まれていきそうです。

2018/11