りぼんの読書ノート

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貧乏お嬢さま、古書店へ行く(リース・ボウエン)

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ヴィクトリア女王を曾祖母に持つ22歳の娘ジョージーは、英国王位継承権を持つといってもほとんど末席の34番目。スコットランド伯爵の称号を持つ実家は破産状態。兄嫁との衝突を避けてロンドンに出てきたジョージーは、従業員が自分ひとりのメイド派遣業(つまり自分がメイド)を営んで、なんとか生き延びているんです。

でも、そんなジョージーの賢さを気に入っている英国王妃メアリは、彼女に無理難題を頼むのです。今回の依頼は、バイエルンの王女を家でお世話すること。皇太子ディビッドがアメリカの年増女のシンプソン夫人に熱を上げていることを心配した王妃が見つけてきた、美貌の花嫁候補なのです。

しかし、最近まで修道院に入っていたというハンネロール王女(通称ハニ)は、アメリカのギャング映画から仕入れた無茶苦茶な英語を話し、行く先々で問題を起こす世間知らずな娘。同行したパーティでは泥酔した青年がバルコニーから転落死。古書店では男性の刺殺体を発見。そして、口うるさいおつきの男爵夫人までが死亡するという疫病神状態。

時代は1932年。ドイツでは王室はすでに権力を失っていて、ファシスト共産主義者が政権を巡って争っている最中でした。ハニはドイツ国内の抗争を英国に持ち込んでしまったようなのですが、果たして事件の真相は・・。

貴族たちはメイドの顔なんか覚えていないというのが前作のポイントでしたが、今回はジョージーのメイド業はあまり役に立ちませんでしたね。代わりに、元警官で庶民の母方の祖父が、臨時の執事役で活躍します。ファッション事業を立ち上げようとしている友人のべリンダや、貧乏アイルランド貴族の息子ながら謎めいた行動をとるダーシーも、前巻に続いて活躍する、楽しいシリーズです。

2014/6