りぼんの読書ノート

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子どもたちは夜と遊ぶ(辻村深月)

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教師を目指している大学4年生の月子。彼女と親密な関係を気付いている大学院生の狐塚孝太。孝太と同じ研究室にいる天才肌学生の木村浅葱。3人の男女の微妙な関係が連続殺人劇に結びついていくというのは、かなり無理がある展開なのですが、そこはデビュー2作目の著者がによる力業ですね。

 

孤独な殺人鬼のひとりは、早い段階で明らかにされます。しかし彼をけしかけて殺人へと誘い、さらに彼が大切に想う人まで手ににかけさせようとする人物とは誰なのでしょう。「i」と名乗るコードネームや、蝶の幼虫を内部から食い破る寄生蜂のエピソードから想像はつくのですが・・。

 

この種の小説では、着地点が気になりるところです。真犯人は死亡もしくは精神的破綻というのが安易な常道なのですが、そのどちらの道も選ばなかった著者の意気込みを感じる作品でした。ただ、関わりの薄い人物たちまで次々に殺害してしまったことに必然性があったのかどうか、本書を執筆し始めた時の著者はまだ高校生であったことを差し引いても、その点は大いに気になったのです。

 

2019/8