りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

タンデム(パトリス・ルコント)

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「タンゴ」や「髪結いの亭主」などのペーソス溢れる作品で知られる映画監督が、同名の自作映画を自らノベライズした著作です。

初老のラジオ司会者モルテスと、若くて無邪気な助手のリヴドは、フランス各地を回ってクイズ番組の生放送を続けています。身勝手でプライドが高いもののラジオ番組だけを生きがいとしているモルテスに対し、リヴドは複雑な感情を抱いているのですが、彼を支えようとする気持ちに嘘はありません。

しかしテレビの興隆に対してラジオが落ち目であることは、2人とも肌身に感じているのです。ある日リヴドは、ラジオ局が番組の打ち切りを決めたことを知りますが、それをモルテスに伝えることができません。平常を装って旅を続けるものの、もちろんモルテスが全てを知るときがやってきます。

失意の中で姿を消したモルテスと、ラジオ局を首になって身を持ち崩したリヴドですが、2人はやがて意外な再会を果たします。タイトルは「2人乗りの二輪車」のこと。2人で協力して走り続けないと倒れてしまうというのは夫婦関係を思わせますが、もちろんLGBT的な意味はありません。

2019/6